得するポイント・マイル活用術!!

ほんのひと手間かけることで得するワザを紹介します!(by 税理士山條隆史)

大学生や主婦のお小遣い稼ぎモッピー、ポイントサイトで稼いで配偶者・扶養控除を外れてしまうと面倒です!

ゲームをしたり、広告を見たり、はたまた簡単なデータ入力や文書作成などで、スマホやパソコンだけで、お手軽にお小遣い稼ぎができてしまうのがポイントサイトです。

アルバイトをしている大学生や、103万円を壁を意識しながらパートにいそしむ主婦の方必見です。意外なところに、大きな損をしてしまう、落とし穴が潜んでいます。 

モッピー!お金がたまるポイントサイト

でも、子供や奥さんからしたら、ポイントサイト稼げちゃうから・・・です。

point-get.hatenadiary.jp

<目次>

1.パート主婦の103万円の壁

(1)103万円の壁

12月になると主婦(=主夫のケースもあるでしょうが簡便性を重視し主婦の例で話を進めます)のパートの方たちが就業調整をするので、人事のやりくりが大変という話をよく聞きます。

これは、一定の金額以上の給料をもらうと、所得税がかかってきたり、社会保険の対象となったりするため、1年間の収入の上限を決め、そこまで働いたら、あとは休んで、それ以上収入が増えないようにするという、パート主婦側からの勤務調整です。

就業調整に関する調査に関して詳しい統計を見たい方は、この資料(平成27年12月8日 人事院給与局「扶養手当の在り方に関する勉強会(第2回)資料)の20頁をご参照ください。

給与の所得計算には給与所得控除(=概算経費のようなもの)の規定があり、65万円が最低ラインとして与えられます。また、所得税の計算には、基礎控除38万円という制度があります。65万円+38万円=103万円←この金額までは税金がかかりません。

一方、この数字には、配偶者である夫の所得計算にも影響されるという理由があります。奥さんの年間の稼ぎ(=合計所得:パートの場合、年間パート収入-給与所得控除65万円)が38万円以下であれば、夫の給与計算で配偶者控除という規定が適用されます。配偶者控除は38万円(=老人控除対象配偶者は48万円ですが38万円で話を進めます)なので、夫の所得税の税率が10%なら38,000円、20%なら76,000円所得税が小さくなります。

じつはこの影響以外にも大きいものとして、夫の給料に加算されている配偶者手当・家族手当の存在です。たとえば、これ(=103万円)以上働くと夫の配偶者手当が年間16.6万円減ってしまうのあれば、自分から勤務調整した方がトクですよね。だって、16.6万円というと自分がパートで稼ぐ約2か月分に相当するんですからね。

扶養手当制度に関しては、この資料(平成27年11月9日 人事院給与局「扶養手当の在り方に関する勉強会(第1回)資料)の2頁をご参照ください。 

そんなこんなで、103万円の壁が存在していました。

(2)2018年(平成30年)から150万円の壁に変更

<平成30年から適用される配偶者控除>

女性の社会進出や働き方をめぐって、夫婦控除がいいとか配偶者控除は廃止とか、いろいろが議論がなされてきました。

※この辺の議論は、税調の資料(平成28年11月14日 税制調査会「経済社会の構造変化を踏まえた税制の在り方に関する中間報告」をご参照ください。 

結局、平成29年税制改正で、所得の高い層の配偶者控除に制限を設け、低い層の配偶者控除を拡大するという着地点に落ち着きました。

・給与所得者の合計所得金額が1.000万円(年収1,220万円)を超える人は配偶者控除不適用

・配偶者特別控除の対象となる合計所得金額は38万円超123万円以下とされた

配偶者特別控除は、配偶者に38万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる緩和制度ですが、話が複雑になるので割愛します。

この改正により、年収150万円で会っても配偶者特別控除で38万円控除(=配偶者控除と同額)が受けられることになったので、新たに150万円の壁と呼ばれるものが現れました。

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(3)まだある社会保険の壁

税金のほかにも、これ以上収入が減ると社会保険料が別途発生したりして家庭外への支出が増えてしまうという壁があります。

130万円が社会保険料の扶養控除限度額で、これを超えると夫の社会保険の扶養から外れ、自分で社会保険料を払わなければならなくなるという境目です。

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これを超えてしまうと、毎月2万円くらいの社会保険料負担となってしまいます。これでは働き損となってしまいます。

この130万円を超えて、社会保険で減った分を取り戻そうとするためには、160万円以上稼がなければなりません。

という様々な壁で、その壁を超える人数はどんどん減ってゆきます。 

2.知らない間に扶養控除の子供が要件から外れていた!!

クライアントの社長さんの話です。社長には二人の子供がいました。一人は社会人となっていたので、控除対象扶養親族から外していましたが、もう一人は大学生なので、扶養親族として申告計算に入れていました。(親会社である外国の会社からのストックオプションの収入もあったので、毎年、自分で確定申告していました)

大学生なので、特定扶養親族(控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人)に該当し、控除額は63万円でした。アルバイトしていることは知っていましたが、年間100万円は稼いでいないだろうとして、扶養計算入れていたのです。扶養親族か否かもパート主婦の基準と同様103万円です。

ある時税務署から連絡が来て、子供さんの収入が103万円を超えていたので、扶養控除の対象外といわれました。結局訂正の確定申告(=修正申告といいます)をしなければならず、その方の場合住民税も合わせると33%の税率だったため、追加税金が20万円超出てしまいました。

お子さんの収入は110万円程度だったらしく、「それだったら、(追加税金の半分の)10万円を小遣いとしてあげても103万円以内に抑えてほしかった・・・・」と感想を漏らしておられました。

扶養控除の場合、配偶者特別控除のような103万円を少しえた際の緩和措置がありませんので、ダメージが大きいです。 

3.ポイントサイトで稼ぎすぎて、配偶者控除や扶養控除を外れてしまうと面倒です!

ポイントサイトは、ゲームをしたり、広告を見たり、はたまた簡単なデータ入力や文書作成などで、スマホやパソコンだけで、お手軽にお小遣い稼ぎができてしまいます。

ここで稼いだお金も103万円の壁に影響するのでしょうか?

影響するのは、勤務先から受ける給料などの給与所得といわれるものです。ポイントサイトでの稼ぎは、一時所得か雑所得になりますので、103万円の壁には影響しません。

<ポイントサイトでの稼ぎ方>

ポイントサイトでのポイントの稼ぎ方にはいくつかの分類があります。大雑把な分類では、下記のようなものがあります。

(1)買い物してポイントをもらう

(2)クレジットカード申し込み、FX口座の開設などでポイントをもらう

(3)アンケートに答えてポイントをもらう

(4)仕事をしてポイントをためる

(1)買い物してポイントをもらう

ポイントサイトに出店しているお店により変わってきますが、買い物代金の1~5%程度といったところでしょうか。この料率はキャンペーン等の有無で変わってきます。

買い物でもらうポイントは、自身が買い物をしたことに対するポイント付与ですので、当人にとっては“値引き”といった感覚がしっくりするかもしれません。 

(2)クレジットカード申し込み、FX口座の開設などでポイントをもらう

ポイントサイトに登録してすぐに稼げるのが、クレジットカードの加入です。5千円、1万円、キャンペーンによってはそれ以上 稼げる場合もあります。カード審査があり、必ずもらえるわけではありませんが、ポイントサイトに加入当初に、一気に稼げるカテゴリーです。 

(3)アンケートに答えてポイントをもらう

こちらも登録すぐからいろんなメールが来ます。またアンケートをすることを登録すれば、ものすごい数のアンケートメールが届きます。

これはアンケートに要する時間に比例しますが、5分から10分かけて、1円~10円程度のものが多いです。所要時間に比し、稼ぐ効率はよくありません。

(4)仕事をしてポイントをためる

パソコンを使ってネット上で、データ入力をしたり、記事作成をする「お仕事」で稼げるポイントサイトもあります。

<ポイントサイトでの稼いだお金の課税>

上記で見たポイントサイトでの稼ぎ方方法を、別の観点から見ると、次の3つに分類できます。

(1)買い物の値引き

(2)広告主企業からのプレゼント

(3)役務・労働の対価

(1)買い物の値引き

純粋に買い物をしてそのお店の次の買い物の代金に充当できる場合は、値引きと考えて、課税とはならないと捉えることができます。

たとえば、ビックカメラで買い物をして得たポイントを次のビックカメラの買い物代金に充当する場合です。

ただし、同じお店での買い物でなければなりませんので、A店で買い物をして得たポイントサイトから付与されたポイントをB店の代金に充当した場合は値引きと捉えることはできません。(2)の企業からのプレゼントに分類されることになります。

(2)広告主企業からのプレゼント

クレジットカード入会のポイントは、そのクレジット会社からの広告費節約に伴うプレゼントと捉えることになります。

(よく駅やデパートなどで人がクレジットカード加入の勧誘をしていますよね。そうしたケースでは人件費や諸経費が掛かってカード加入を実現させています。ポイントサイト経由だとその経費が掛からないので、その分ポイント付与という形で、クレジットカード加入者に対するプレゼントができているのです。)

 会社から個人へのプレゼント(=贈与)は一時所得というくくりとなります。

一時所得は、50万円の特別控除がありますので、たいていの場合はこの範囲内に収まりますので、50万円の範囲である限り*保険満期金があるなど特定の場合を除く所得は発生しません。

(3)役務・労働の対価

記事を書いて働いたり、アンケートに回答することは役務の対価として、課税されます。所得は雑所得というくくりで課税されます。

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<どんな時、夫や父親の所得計算に影響してくるか?>

(1)パート主婦の場合

150万円ギリギリまでパート収入をもらっている場合、(3)の役務労働の対価としてもらうと、一部配偶者特別控除は残りますが、配偶者控除を外れてしまいます。(1)の値引きとされるオンラインショップでのポイント獲得か、(2)広告主企業からのプレゼント(50万円以内)にしておくことが無難です。

(2)扶養親族となっている場合

103万円ギリギリまでアルバイト収入をもらっている場合、(3)の役務労働の対価としてもらうとアウトです。ポイントサイトを楽しみたいと思ったら、アルバイト収入を減らしてください。あとは、「父上の扶養控除を阻害しなかった」という理由でお小遣いをもらいましょう!

教訓:儲かるところには税金がかかります。もっとも納税は国民の義務(憲法30条)です。